市民の飲料水の確保と公衆衛生の向上を主目的とした、全国で29番目、山陰地方初となる近代水道の総工事費は50万円余りで、当時の本市の年間予算額の5倍にもなる大事業でした。 給水開始後、大正7年の台風の大雨に伴う大洪水は、美歎水源地の水道施設と美歎集落に大きな被害を及ぼしました。また、市内で震度6を記録した昭和18年の鳥取大地震と市街地の3分の2を焼失した昭和27年の鳥取大火災では、水道にも甚大な被害をもたらしました。昭和56年の異常寒波の際には、寒波到来から5日間で2,300件余りの水道管が凍結破裂したことなど、幾多の災害と苦難を市民のみなさんとともに乗り越えてきました。 そして、市町村合併を重ねたことによる給水区域の拡大、生活の変化や市の発展に伴って増大する水需要に対応するために施設整備を行いながら、今日まで清浄・豊富・低廉な水道水をお届けして、平成27(2015)年10月に給水開始から100周年を迎えました。 現在は、平成16年11月の市町村合併に伴い、市内で「鳥取・国府」「河原」「青谷」の3地域において1つの上水道事業を経営しています。
平成27年10月8日、鳥取市民会館で厚生労働省水道課長をはじめとした多くの来賓や約200人の関係者を招待して、鳥取市水道給水100周年記念式典を行いました。
式典では、市長の挨拶、来賓の祝辞のほか、「水道事業100年の歩み」として事業経過の報告、ヴァイオリン・ピアノデュオによる水をテーマにしたクラシック音楽の演奏などを催しました。
式典終了後には、本市水道発祥の地で、重要文化財に指定されている旧美歎水源地水道施設の見学会を実施しました。
平成27年11月8日、水を使った実験などを通して、広く子どもから大人まで水道に対する理解を深めてもらうことを目的として、記念イベント「米村でんじろうサイエンスショー」を県民ふれあい会館で開催しました。
水道事業管理者の挨拶の後、水道水を使用した実験など行い、約1時間15分の公演を2回、延べ約1,000人が観覧しました。
記念飲用水栓を、鳥取駅前風紋広場のトイレ(愛称「さらら」)横に設置しました。鳥取砂丘に浮かぶ風紋をイメージした形状で、水道局ロゴマークが入ったプレートを取り付けています。流れた水は風紋のように波打った溝を伝い、排水される構造になっています。
重要文化財に指定されている旧美歎水源地水道施設の門扉などにも刻まれており、鳥取(Tottori)のT、水(Water)のWでデザインされたロゴマークを、100周年を契機に商標登録しました。今後の水道事業の広報に幅広く活用していきます。
防災意識の啓発を目的として製造しました。原料は江山浄水場で膜ろ過した水道水です。容器の素材はアルミで、表面には水道局ロゴマーク、100周年を記念した図画ポスターや標語などが印刷してあります。水道局の各種行事、施設の見学時などに無料配布しています(非売品)。
本市水道の歴史を後世に引き継ぎ、次の100年に向けて、より一層市民の皆様の期待に応える水道を構築する出発の証として、平成28年10月に発刊しました。
既刊の「鳥取市水道六十年史(昭和50年)」「鳥取市水道九十年史(平成17年)」を再編集し、平成27年9月までの本市水道100年の歩みを掲載しています。多くの市民の方に本市水道事業の歴史に触れていただけるよう、市内の学校・地区公民館・図書館などに配布しました。
鳥取市の水道は、大正4年に美歎水源地から給水を開始したことが始まりです。旧美歎水源地水道施設は、全国で29番目、山陰地方で最初に建設された近代水道施設の代表的遺構です。貯水池のみならず、量水施設やろ過施設なども良好な状態で保存されていることから、平成19年6月、重要文化財に指定されました。
鳥取市は、平成16年11月、平成の大合併により、鳥取県東部の8町村(国府町、福部村、河原町、用瀬町、佐治村、気高町、鹿野町、青谷町)と合併し、新しい「鳥取市」として生まれ変わりました。これに伴い、現在は「鳥取・国府」「河原」「青谷」の3地域において1つの上水道事業を経営し、それぞれ水道局国安庁舎、河原営業所、青谷営業所で業務を行っています。
江山浄水場は、1日最大浄水量8万立方メートルという日本最大規模の膜ろ過施設を有する浄水場です。平成11年から整備を進め、平成22年12月に全面供用開始し、鳥取・国府地域の上水道給水区域に膜ろ過した水道水が供給できるようになりました。 江山浄水場では、塩素消毒が効かない病原生物「クリプトスポリジウム」などが水道水に混入することを防ぐため、無数の小さな穴の空いた膜に原水(千代川の伏流水)を通し、中に含まれる微粒子(汚れなど)を取り除く「膜ろ過」という方法で、水をきれいにしています。
鳥取市の水道事業は、これまでの100年間、人口増加や経済発展に伴う水需要の増加、給水区域の拡大などに対応するため、8回にわたる拡張事業を実施し、市民生活や経済活動を支え、本市の発展に寄与してきました。現在は、「お客さまの視点に立ち、お客さまに信頼していただける水道を目指す」という経営方針のもと、これからも、「全てのお客さまに蛇口から直接飲める、安全でおいしい水を安定的に安く供給するサービス水準」を将来にわたって維持発展させていきます。